Y.癌の摘出準備  (五回目の入院)


【 自宅待機 】 − 2005.01 上旬 −

「ベットの空きが出る」 → 「病院から電話がかかってくる」 → 「入院」 → 「手術」
・・・という手はずですが、この「ベットの空きが出る」というのが、
いつ頃になるかが不明でした。
年が明け、1/4、都内の病院に手術をして頂く教授に診察に行きました。
年明けでもあるし、名医でもあるし、かなり混む・・・ということが予想されていましたので、
診察開始時間は9時からでしたが、朝の5時に起き、7時には病院に着いていました。
2時間前に受付すれば、さすがに一番だろう・・・と思いきや、3番目でした。(汗)
う〜ん、気合入っている人がいるもんだなぁ〜・・・。

診察室に呼ばれ、教授とご対面しました。
かなり眼力のある方で、
「この人には冗談は言えないなぁ〜」なんて感じの方でした。(汗)
すぐさま、隣の部屋にあるエコーで教授自ら、腫瘍の状態を診てくれました。
教授は、もの凄く、けわしい表情で画面に映る私の肝臓の状態を見ていました。
その時改めて自分は癌なんだな・・・と再度認識しました。
教授の診察が終わり、お付の助手(医師)から色々と説明がありました。

担当医A:「ベットが空き次第、入院となります。かなり大きな手術になります!
喫煙はされていますか?」

私:「はい。でも、元旦にやめました。」

会社の上司(課長)と元旦から、「お互いやめよう!」という話になっており、
元旦から吸っていませんでした。
担当医A:「一日、どのくらい吸われていましたか?」
私:「1日2箱(40本)ぐらいです。」
担当医A:「全身麻酔での手術になりますので、術後かなり痰がからみます。
禁煙された方が良いですね。」

私:「はい。」

適当に診察をしてその日は終わるのかと思いきや、検査をもう一度するという事でした。
しかも、これから・・・。(汗)
先ずは採血、次に心電図、肺活量を測る検査、レントゲン、尿検査・・・5つぐらいです。
7時に病院に来たのに、終わったのは13時・・・。トホホです。。。(汗)
とりあえず、いつ頃になるかわからないベットの空きを待つ状態がしばらく続きました・・・。



【 ダメ人間 】 − 2005.01 中旬 −

年末から自宅待機して20日程度になります。
会社はすでに始まっているのに、何をするわけでも無く、こんなに休んでいても良いのか?
と思ってしまう程でした。病院に呼ばれるまでに会社に出ようかと上司に言ったものの、
出なくても良いと言われていました。
確かに、癌とわかっている者が、会社で仕事をしているのもどうか?とも感じたので、
このまま病院に呼ばれるまで、大人しくしていた方が身の為だろう。。。
しかし、やる事が無い!(汗)
やる事がなく、会社を休んでいる手前、気まずかったのか、とりあえず8時には起床していました。
起きてからは、ネットをしたり、癌の本を読んだり、ドライブしたり・・・。
そんな事をしていると、もう1/19になっていました。
ここまで待たされるとは思っていませんでした・・・。(汗)
遅すぎる!遅すぎるゾ!!俺、癌だよ!
癌患者をこんなに待たせて大丈夫なのか!?(汗)
 ・・・等と吠えたくなる程でした。

タバコをやめてから20日が経ちました。
15日ぐらいが過ぎてから、このまま行けるな・・・と思っていましたが、
ここまで暇で、やる事が無くなれば、つい誘惑にかられる事も・・・。
カミさんのシケモクがあったので、一番長い奴を見つけチョットだけ吸ってみる事にしました・・・。

クラクラきました・・・。(笑)
「俺って相変わらずダメ人間だ。。。」等とのたまい
3本程シケモクをチェーンスモーキングしちゃいました。(^^;
そして昼飯を食いに出かけ、その足で自動販売機で1箱だけタバコを買ってしまったのです。
「これ吸ったら本格的にやめよう。。。」 <課長、スミマセン。。。(汗)
タバコを吸っていると、携帯に病院から電話が入りました!
ベットが空いたので、明日、入院して欲しいとの事でした。
「やっとだ、やっと入院できる!!」
でも、あと数時間連絡が早かったら、タバコを吸わなくても良かったのになぁ・・・。(笑)
とりあえず、病院にはタバコは持って行けない。
その場でタバコを捨て、入院の準備をしました。



【 最後の悪あがき 】 − 2005.01 下旬 −

もしかしたら、高い部屋しか空かないという事でお金は用意していたものの、
聞いてみると、4人部屋のベットが空いたという事でした。
よって、部屋代は全くかかりません。<助かった。。。(笑)
病院に行き、入院の手続きを済ませベットに入りました。
隣の人は私と同じくらいの年齢の人でした。
これから手術らしく、手術衣に着替えられ準備をされ緊張されている様でした・・・。
なので挨拶は後にする事にしました。。。

早速、スウェットに着替え終わると一人の医師が来ました。
ここの外科は、患者一人に主治医が一人付くという事ではなく、5人の医師が1チームで
その患者を見るという体制になっていました。
AチームとBチームの医師団で構成されている様です。
私の場合、手術は教授にしてもらいますが、それまでの準備や術後の状態は、
この5人の医師軍団(Aチーム)で管理されるのでした。
そのAチームの医師団のリーダーが私のところにやって来たのでした。

担当医師(リーダー):「はじめまして。」
私:「はじめまして。宜しくお願い致します。」
担当医師(リーダー):「早速ですけど、今からエコーをやりたいので別室に来てもらえますか?」
私:「わかりました。」
別室に行き、上だけ脱いで両手で後頭部をかかえ診察するベットに仰向けで寝ました。
担当医師(リーダー):「あ、慣れていますね!」(笑)
そりゃそうです・・・、何十回したことか・・・。(汗)

もう一人医師がやって来て、
「あ、これだな・・・、こうやると良く見えるな・・・。」等と言いながら
二人で(私も入れて三人で)エコーに映し出されている私の癌の状態を診ていました。
(エコー画面は、モヤモヤっとしている白黒の画像であるので、私は見てもサッパリでしたが・・・。)
エコーが終わり、ベットに戻ると採血がありました。
来ていきなりバタバタと診察がありましたが、今日はこれで何も無いという事でした。

今後のことを考え、病院探索・・・というか、暇つぶしというか、売店にでも行ってみる事にしました。
さすがに都内の大手大学病院は広い!
売店や自動販売機がいくつもあります。自分がいる建物の地下の売店は小さい為、
少し歩いて他の建物の1Fにある大きな売店に行ってみることにしました。
喫煙所は売店の手前にあるな・・・。
タバコ吸いてぇ〜なぁ〜。。。(さすがに病院の売店ではタバコは売っていません。)
その売店に入る手前、外へ出れる通路を発見!すぐに普通の道路に出れるようになっています。

直感が働きました!
!?この道に出て、あの角を曲がると何かあるな・・・。

パジャマではなくスウェットを着ていたので、恥ずかしくも無く道に出れる状態でしたが、
足元は靴ではなくスリッパを履いていました・・・。
まぁ、足元なんか誰も見ていないか・・・と思い、何かを感じる角まで20歩程度だったので
行って見ることにしました。

Σ( ̄□ ̄lll) 「やはり!!」

思いっきりタバコ屋があったのです!(爆)
しかも今があまりお目にかかれない単店のタバコ屋さん。正に絵に描いた様な感じでした!(笑)
迷わず入り、
「スーパーライトとライター下さい!」
我ながら、動物的直感は凄いものだと感心したものでした。
そして、我ながらダメ人間だと改めて自覚しました。。。_| ̄|○

売店に行き、飲み物等を買い込んでから、喫煙所で一服しながら携帯メールをしていました。
一時間程度、時間を潰しました。

部屋に戻ると、医師の一人が私を探しているとの事でした・・・。(汗)
何だろ?? これからのスケジュールの事かな?

担当医B:「あ、いらっしゃいましたね!はじめまして。宜しくお願い致します。」
私:「こちらこそ、宜しくお願い致します。」
担当医B:「実はですね〜、午前中やっていただいた採血の結果なのですが、
良くないのですよね、GPTが500あります。」

私:「500?年末まで、基準値でしたよ!・・・500ですか・・・かなり高いですね。」
(汗)
GPTが500といえば、肝炎では即入院の数値です!

他の医師軍団が私のところに続々と詰め掛けてきました!(汗)
研修医も含め7名ぐらいいます。。。
担当医師(リーダー):「具合はどうですか?」
うわっ、いっぱい医者がいて誰が誰だか、すぐには覚えられね〜や。(汗)
私:「あ・・・、宜しくお願い致します。」
担当医師(リーダー):「聞かれました?数値・・・?」
私:「はい、GPTが500あるんですよね?」(汗)
担当医師(リーダー):「そうなんです、これでは手術ができないです!
今、何か症状はありますか? ダルイだとか・・・?」

私:「いや〜、特に無いんですよね〜・・・。今までずっとそうだったんです、
肝機能が上がっても特にダルイとか、全く症状が出ないんですよね〜。。。」

担当医C:「フッ・・・。」 <医師団の中の一人が笑う
オイ、誰だよ、今笑ったの!(怒)
こっちはそれどころじゃね〜っつーの!(怒)
担当医師(リーダー):「とりあえず1週間程度、点滴をして数値を落とします。
肝機能が落ち着いてから手術になります。

私:「強ミノ(強力ネオミノファーゲンC)ですか?」
担当医師(リーダー):「そうです、詳しいですね〜。」(笑)
そりゃぁ〜10数年間B型肝炎だったし、嫌でも詳しくなりますよ〜。(笑)
私:「しかし、何でこのごに及んで数値が上がったのでしょうか?
この前までは何ともなかったのですが・・・。」

担当医師(リーダー):「色々と診てみないとわからないです。
もしかしたら、違う何かがあるかもしれませんし・・・」(汗)

私:「え!?肝炎の他に違う何かって何ですか!???」
担当医師(リーダー):「例えば、・・・劇症肝炎だとか・・・」
私:「ええ〜っ!劇症!?」
担当医師(リーダー):「まぁ、多分大丈夫だと思いまけど、とりあえず点滴をしましょう!
もしかしたら、今までも気づかずに何度かこの様に数値の変動があったのかも知れませんね。」

私:「宜しくお願い致します。」

しっかし、軽々しく劇症肝炎だなんて言わないで欲しいよなぁ〜。
劇症肝炎だったら肝臓移植って話になるじゃね〜かよ!(汗)
でも、確かにそうなのかもしれない・・・。
今まで気づかずに数値の変動があり、その繰り返しで肝細胞が壊れ続け、
癌化したことも大いに考えられるなぁ。。。

早速、強力ネオミノファーゲンCを投与!
これから1週間、B型肝炎の治療に入る事になったのでした。
(後から知ったのですが、入院してから3日後に手術の予定が組まれていたそうな・・・。)

手術目前にしてB型肝炎が『最後の悪あがきをした・・・
そんな感じでした。。。




【 タバコ友達 】 − 2005.01 下旬 −

次の日、朝食を済ませ、本日の強力ミノファーゲンCがセットされました。
看護士には
「ちょっと売店に行ってきます!」と言って喫煙所に行っていました。(^^;
今までの入院生活、この喫煙所というのは最も憩いの場となるところでした。
喫煙所にタバコを吸いにやってくる患者は皆、
「ダメだとわかっているけど、やめられないんだよね〜・・・」と声を揃えて言うのでした。
そう、自分に甘く、そしてお互いをダメにし合う場なのでした!(笑)
しかし、そんな中でも、
「あの先生はこうだ・・・」とか「ここの病院の問題点はどうの・・・」だとか
貴重な情報も得られたりします。
また、他の病気で入院している患者の病状や治療方法などの話も聞けて、
病気に詳しくなったりします。
(たまに間違っている医学知識を語るオヤジにも遭遇しますが・・・汗)
そんな甘えた空間、ダメ人間の吹き溜まり(喫煙所)に私は点滴棒を引きずりながら
入っていきました・・・。

Mさん:「あれ?お隣の方じゃない?」
私:「あ、どうも。あれ?一昨日手術したばかりですよね?大丈夫なんですか?」
Mさん:「もう大丈夫ですよ!タバコが我慢できなくて!」(笑)
私:「あの・・・、どこを手術されたのですか?」
Mさん:「胆嚢です。胆石があって胆嚢を取りました。」
私:「あぁ、そうですかぁ〜。」
Mさん:「どこが悪いんですか?」
私:「私ですか?癌です。肝臓に5cm弱の癌があります。」(笑)
Mさん:「あ、、、そうですか・・・」(汗)
あら?退いちゃったかなぁ〜。。。
Mさん以外周りの人も退いているし・・・。(汗)
こういうのってアッサリ言わない方がいいのかな?(^^;


外科に入院している患者の半分以上〜2/3は何らかの癌であり、
癌である人はやはり年齢層が高めな方達ばかりです。
となりのMさんは私より一つ歳が上であり、私達は病棟では珍しく若い方でした。
(世間じゃ立派なオッサンなのに・・・。)
おじいさんばかりが周りにいると話もあまり合わないし、近い年齢の人が同室だと
話も合い楽しいかったりしました。
食後、
「行っときます?」(笑)とタバコに誘ったり、誘われたりして
あげくの果てには、夜に寝れねぇ〜と言いながら、二人で消灯時間後、
ロビーで話をして盛り上がったり、霊安室を探索しに行ったり、夜勤の看護師をからかったりと、
悪さばかりしていました。(^^;
しまいにはMさん、
「入院して良かったですよ、こんなに楽しいとは思っていなかったです!」
言うほどでした(笑)

他、少し年上の方ですが、Mさんと同じく胆石で手術されたKAさんや肝臓が悪いお子さんの
ドナーとなり、私と同じ場所を切除されたKUさんともお友達になり、
楽しい入院生活を過ごす事ができました。
KAさん、Mさん、KUさんの順で退院され、私が退院した後、食事会(いわゆる飲み会)をしよう!
とまで話が発展しました。
皆さんタバコを吸う方で、喫煙所が縁で知り合ったりしたのですが、
色々な病気・事情を抱えながらも、滅入る事はなく、ましてや喫煙患者は明るい!(笑)
厳密に言うとタバコは体に悪いものなのですが、病室でふさぎ込んでいるより
太陽の下でストレス解消という喫煙という行為のもと、皆でワイワイ騒ぐ!
これは返って体にプラスになる事もありえるだろうと思ったりもします。
(何の医学根拠もなく、タバコをやめられない言い訳に過ぎないですが・・・。(汗))
でも、喫煙所は病院には無くてはならない場所だったりするのです。



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